「ロボッチイヌ」-獅子文六-

◆2月によく聴いたCD
表題の「ロボッチイヌ」は“ロボット犬”と思いきやロボットをフランス語の女性形にした造語ということで、女性を性の奴隷から開放するために売春ロボットを作るという話。このほかにも容姿が西洋人に似た日本人が西洋人になりきる話など、風刺的要素が強い短編が収録されています。
長編だと風刺的要素が背景に漂うという感じで、ある意味隠し味になっているところが、獅子文六の作品の“味”になっていると思っているのですが、ここに収録されている作品では風刺的要素が前面に出過ぎっちゃってる気がします。どこか筒井康隆や星新一的な雰囲気もあります。

年末に「電子音楽InTheLostWorld」を読んだときに、1970年代後半から1980年代にかけての日本のテクノポップを聴き返してみようかな、なんてことを書きましたが、その後、見事にはまってしまいました。でもまだまだ聴き始めたばかりで、YMOやプラスチックスの周辺を中心に昔聴いたアルバムをCDで買いなおしてるって感じです。ついでにNew MusikやBuggles、New Order、OMD、Strawberry Swichbladeなどのエレポップまで手を伸ばしかけていたりして、今年はこの辺だけでなく80年代の音楽をいろいろ聴き返してみようとまで思ってる次第。
80年代の音楽って一部(邦楽だと大瀧詠一と山下達郎、洋楽だとネオアコ周辺くらい)を除いて、90年代以降あえて聴いてこなかった分、ある意味新鮮な気分で。いや、単なる懐古なのかもしれませんけどね。
しかしこの頃のアルバムをCDで手に入れようとすると意外と見つからないもんですね。

そんなわけで2月によく聴いたCDを5枚‥‥

-■「Singing Circuit」-Shi-Shonen-
これは高校時代にほんとによく聴きました。前半の「Lovely Singin’ Circuit」「デジタブル・イン・ベッド」「N-Sマグネティック」「Bye-bye Yuppie」という流れは完璧(もちろんそのあともいい曲が続きますが)。今の音楽に比べるとぐっと前面に押し出す感じがないので、パフュームとかエレクトロ系の人の曲と続けて聴いたりするとかなり軽い感じになってしまうんでしょうけど、おじさんにとっては耳に優しくてうれしい。パフュームも好きだけれど、ずっと聴いてると疲れるのよ。隙間がある分、奥行きが感じられるのね。
今考えるとこのShi-shonen~ピチカート・ファイヴという流れが、わたしのビートルズに影響と受けた人たち離れを促進させたんだなぁと。

-■「マイ・ガール・フライデー」-サロン・ミュージック-
90年代の真ん中くらいにイベントをやっていたときに、よく「マッスル・ドーター」をかけていたので、それほど懐かしい感じでもないのですが、CDで買い直して改めて通して聴いてみるといい曲がそろっているなぁと思いますね。リアルタイムでは、1990年の「Psychic Ball」まで聴いてました。逆に90年代のトラットリア時代以降はぜんぜん聴いていないので、こちらも聴いてみたいかも。
そういえば、吉田仁はピンクの岡野ハジメとQuadraphonicsなんてユニットもやってましたね。懐かしい~
CD化の際にジャケットのデザインが変わってしまったのが残念。

-■「緑の法則」-鈴木さえ子-
鈴木さえ子のアルバムは、「科学と神秘」とアンディー・パートリッジがプロデュースした「スタジオ・ロマンチスト」しか聴いてなくて、これを聴くのは初めてなのですが、でもどこかで聞いたことのある曲が多いのは、鈴木さえ子のラジオ番組を聴いていたせいかもしれません。
ほかのアルバムでもそうなのですが、このアルバムもインストがいいんですよ。1曲目の「夏休みが待ちどおしい」とか、インストなんですけどメロディはもちろん使われている効果音や音色などが、ほんと「夏休みが待ちどおしい」って雰囲気を出してるんです。
それにしてもファーストアルバムのタイトルが「毎日がクリスマスだったら」で、次のアルバムの1曲目が「夏休みが待ちどおしい」って‥‥。

-■「SF」-鈴木慶一-
鈴木慶一プロデュースによるSFをテーマにしたイメージアルバム。
ムーンライダースのメンバーが変名で参加していることもあって、テクノポップというよりもプログレというかフュージョンというか的なインストが収録されています。この頃のテクノ(ポップ)ってあんまり演奏力はないけれど、アイデアやひらめきがあればいい音楽が作れるという発想のものと、もともとプレイヤーでアレンジャーも兼ねていたりするようなミュージシャンが、シンセを取り入れることによって一人で音楽を作っちゃう多重録音的なものと2つの面があると思うのですが、これは後者。もちろん鈴木慶一なのでそれだけではないですけどね。大村憲司とか佐藤博とかこっち方面のCDにも手を広げたいところ。
あと、萩原朔太郎の孫(萩原葉子の息子)である萩原朔美が作詞で参加しています。

-■「浮気なぼくら」「サーヴィス」-YMO-
「浮気なぼくら」とか「サーヴィス」など、いわゆる歌謡曲路線と言われているYMOのアルバムをまた聴くことがあるとは?という感じですが、この歌謡曲路線が今の気持ちに合っていて、けっこう繰り返し聴いています。歌謡曲といえばYMOの3人が作詞、作曲、編曲、プロデュースで関わった歌謡曲を収録した「イエローマジック歌謡曲」というCDも出ているみたいですね。イモ欽トリオとか伊藤つかさ、三田寛子、スターボー、安田成美、中原理恵‥‥といったアイドルの曲を3枚組、全55曲収録、かなりお腹いっぱいになりそうです‥‥。
ちなみに「サーヴィス」のほうはSETのコントを外してiPodに入れてます。ははは。