先日、会社帰りに古本屋さんに寄ったら、レジの横にアルバイト募集の張り紙がしてあって、応募条件のところに「大卒もしくは大学生」と書いてありました。どこの古本屋かは書かないけれど、大学に行かないと町の古本屋でも働けないのかーと思うと、ちょうどこの本を読んでいた時だったけに複雑。小学校卒の小林勇が代表取締役を勤めた岩波書店も、もちろん今では、そんなことはありえないだろう。そういえば、「文芸別冊 池波正太郎」にも、小学校卒で作家になったのは池波正太郎が最後になるのでは‥‥、と書いてあったっけ?
その小林勇の自伝。本を読みながら付箋を貼るような習慣がないので、改めて書き出そうとすると、きちんと思い出せないのだけれど、明治生まれの堅実でひたむきな生き方がにじみ出てます。出版社が、とりあえずタレントに本を書かせて儲かればいい、みたいな感じになってしまっている今、出版社に勤めているすべて人に読んで欲しいような、どうでもいいような‥‥なんてことを言える立場でもない。草思社の倒産とか見ていると、出版社も大変そうなので、こうなったらタレントでも何でもいいからめちゃくちゃ売れる本をいっぱい出してもらって、儲かったお金で、昔の優れた作家の本や、これから100年間読み継がれていくような新しい作家の本を出して欲しい‥‥なんてことも言える立場でもないです‥‥。
話は変わりますが、年末からずっと原田知世の「music & me」ばかり聴いてます。デビュー25周年記念、5年ぶりということで、過去の曲のセルフカバーがあったり、鈴木慶一、大貫妙子といったつながりのあった人たちが参加したりと過去を振り返る要素を入れつつ、プロデュースは伊藤ゴローで、高木正勝やキセルが曲を提供していたりとそのバランスがとてもいい。ずっと追いかけているわけではないけれど、原田知世は、そのときのサウンドを適度に取り入れつつ、でもマニアックにもならず、基本的には自分の声を活かすということに重点が置かれていて、あまりブレがない。「時をかける少女」をボサノヴァのリズムで再演するというありがちな手法も、原田知世が演るといいなと思ってしまうのは、単にわたしがファンだから、というだけではないと思う。