犬を題材にした古今東西の文学作品をめぐるエッセイ集。ロジェ・グルニエは、愛犬のユリシーズが死んだときに、もう犬は飼うまいと決心し、その代わりに犬に関しての本を集め出したのだそう。愛犬家の作家による思い入れたっぷりのから犬を機械とまで定義した厭犬家まで、さまざまな文章が縦横無尽に引用されつつ、グルニエの犬への、特にユリシーズへの思いがつづられてます。私自身は、カヌー犬ブックなんて名前をつけているわりには、それほど犬好きというわけでもなくて、むしろ、小学校くらいまでは犬が嫌いだった、というか怖かった、というほうだったりします。というのも、私が小学校低学年くらいの頃までは、まわりに野犬がいて、しょっちゅう追い回されていたから。学校に行くときにかみつかれて、病院で検査とかされたりしてました。背が低いから顔とかかみつかれちゃうんですよ。
なので、そういった思い入れの部分に関しては、あらあら、ふんふんという感じなんですけど、犬好きの人が読んだら、やはり感じ方が違うのかな。どちらかといえば、こういう散文的なエッセイが好きなこともあり、そういった内容よりも文章の構成や言い回し、引用の仕方‥‥といったことの方が気になるわけで‥‥。まぁそれも内容がおもしろければこそ、ですけど。