「果てしのない本の話」-岡本仁-

-■雑誌「HUGE」に連載された読書エッセイ。
といっても取り上げられるのは、本ばかりではない。冒頭でロデオにあこがれるアメリカの子どもとロデオの写真集の話から、スパイク・ジョーンズが撮ったロデオのドキュメンタリーについて、そして片岡義男「ロンサム・カウボーイ」が取り上げられる。その後も、映画や音楽、建築、民芸品‥‥など、さまざまなものが連想形式で、かつそれまでに出会った人たちや旅の思い出とともにつづられ、本の最後に再び「ロンサム・カウボーイ」が登場して終わるという形になっている。
かつて「relax」を読んでいた人たちにとってなじみのあるものも、自身の思い出話などと結び付けられてるせいで、新鮮な気分で読めるし、知らないものでも、前後で知っているものと関連付けられているせいで、ついチェックしなくちゃという気になってしまうところは、さすが「relax」の元編集長という感じ。そういう気分になる本を読むのはひさしぶりな気がする。

日本のサブカルチャーって基本的にアメリカ(イギリス)の文化への憧れをベースにしていたのが、気がついたら漫画やアニメなど日本で生まれたものが中心となってて、いつのまにか変わってしまったと思ってるんだけど、「relax」という雑誌は、アメリカの文化への憧れをベースにした最後の雑誌だったのかな?とちょっと思った。いや、今の雑誌を読んでないので、実際「relax」以後がどうなっているのか知りません。
ただ、2019年の今、ここに書かれているようなことに憧れて読んでしまう世代と、嫌味というか、嫌悪感を抱いてしまう世代で分かれてしまってるんじゃないかなと、なんとなく思ってしまうのですがどうなんでしょうね。

ちなみにこの本は本の雑誌社から出ているのですが、続編がパピエラボというところから出てます。こちらはリトルプレスみたいで、今まで本屋でも古本屋でも見かけたことがないし、ネットで調べたら版元でも売り切れで再販予定もないとのこと。どこかで出会える日が来るのだろうか?

■秋はイベントの季節。カヌー犬ブックスはそれほどイベント出店しているわけではありませんが、10月13日に国分寺マンションアンティークアヴェニューで行われたてのわ夜市に出店しました。

-

てのわ夜市は5月に国分寺公園で行われたてのわ市の夜編。「美味しい『お酒とお料理』、美しい『器や照明、古道具』たち。そして ほろ酔い気分に心地よい『素敵な音楽』。秋の夜長を彩る 多摩・武蔵野地域の魅力が集う たのしい『大人の夜市』です。」というキャッチコピーがついているとおり、大人がわいわいとお酒を飲みながらお店を回ったり、知り合いとしゃべったり、ライブを見たりしているいい雰囲気のイベントでした。

晴れた日に公園の芝生の上でのんびりしたり、子どもと遊んだりしつつ、お店を回ったり、ライブを見たりするのもいいけれど、個人的にはこういうこじんまりとしたイベントのほうが好きかもしれません。お店もたくさん出ているわけではないし、個々のスペースも大きくはないので、出展者の人と話したりしやすいし、なんとなくお客さんとの会話も弾みやすい。
ちなみに当日は和田誠が亡くなったばかりということもあって、和田誠の本をとって話しかけてきてくれるお客さんが多かったです。
まぁ何といっても今回は車を出さなかったので、自分がお店をやりながらビールを飲めたということも大きいですけどね。

こじんまりとしたイベントと書いてしまったけれど、主催するほうは、前日に台風が通り過ぎたりしたこともあり、公園でやるイベントと同じくらい大変だったと思います。スタッフの皆さま、来てくれた皆さまありがとうございました!