「白いプラスティックのフォーク」-片岡義男-

-■戦後の幼年期に、ハワイに住む祖父から送られてきた缶詰やお菓子の話から大学時代、そして現在までの食体験をつづったエッセイ集。キャンベルのスープ缶、びん入りのマヨネーズ、ハーシーズのチョコレート、スニッカーズ、ジェロ‥‥など、戦後の日本の状況やアメリカとの関係などと絡めた幼年期のエピソード中心になっている。片岡義男の場合、日本とアメリカが自分のルーツとして並列で存在していて、どちらがどうということがなく、両方をわりと客観的にとらえているところが読んでいておもしろい。
たまたまこの後、田中小実昌のエッセイを読んでて、戦後に中国から戻ってきてストリップで働きはじめたり(まだストリップという言葉はなかった)、米軍将校のお店でバーテンをしたり、的屋を始めたりしたことが書かれてて、年齢も境遇もまったく違うのだけれど、同じ年代をつづったものとしてなんとなく比較してしまったりする。二人ともどんな境遇になっても悲壮感がないのが共通しているので、どんな時代の話でも重くならずに読むことができる。
これが山口瞳だったら悲壮感の塊みたいになるわけで‥‥(それはそれでおもしろいんですけどね)

-■年末からコーラスものを中心にイージリスニングばかり聴いている。ジョニー・マン・シンガーズ、レイ・チャールズ・シンガーズ、アニタ・カー・シンガーズ、フラバルー・シンガーズといった○○シンガーズというグループだったり、○○シスターズ、○○ファミリーだったり、インスト中心のレコードでも、クレジットにコーラスが入っているものをチェックしてしまう。クリスマスの時期など、冬の夜に小さめの音で流しているといい感じなのですが、各グループで大きな個性があるわけではないので、聴き続けているとちょっと飽きてきて、ハイローズやシンガーズ・アンリミテッドなど、もっとうまいコーラスや、アーバーズのようなソフトロックに近いテイストのものに変えてみたりしている。
でも、コーラスものを聴いていて結局思うのは、ジャズの色合いが近いものやイージーリスニング的なもの、そしてソフトロックぽいものなどその時の時代の音にあわせつつも常に最高のコーラスを聴かせてくれるフォー・フレッシュマンが一番、最高だなってことですね。ちなみにフォー・フレッシュマンは、1948年に大学の新入生だった4人で結成され、2年に進級することなく、大学ではフレッシュマンのままだったそうですが、メンバーチェンジを繰り返しながらいまだにグループとのしての活動が続いているようです(オリジナルメンバーは1993年まで在籍していたらしい)。在籍メンバーはのべ26人!そして今年は結成70周年!がっかりするかもしれないけど、いまのフォー・フレッシュマンの歌もちょっと聴きたくなりますね。