「木菟燈籠」-小沼丹-

-■去年の年明けくらいに神保町の古本屋を回っていたら、この本が安く売ってて、小沼丹の本も安くなったなぁなどと思いながら購入。あとで調べたら、講談社文芸文庫から文庫版が刊行されてたので、その影響なのかもしれない。でも講談社文芸文庫は、新刊の単行本と同じくらいの値段なので、それよりも安くする必要はないんじゃないかと思うので、関係ないかもしれない。ちなみに去年の年末には「藁屋根」が講談社文芸文庫から出て、買わなくちゃと思っていたところに、手ごろな値段の単行本を見つけたので、講談社文芸文庫からいろんな本をどんどん出してほしい。
逆に木山捷平の「酔いざめ日記」は、誕生日のプレゼントにミオ犬からもらった1週間後くらいに単行本を見つけて、失敗したと思った例。でもかなりボリュームのある本なので、文庫本のほうが持ち歩きやすいし、読みやすくてよかった、と、自分を納得させてる。まぁ文庫本をもってたって単行本も買っちゃえばいいじゃんという話ですが。CD持ってたってアナログが安く売ってたら買っちゃうわけで。

■さて、話を「木菟燈籠」に戻すと、表題は、教師を辞めて小鳥屋を始めた教師仲間のことを描いた作品。その小鳥屋の店先に置いてあった木菟燈籠の顛末が描かれている。そのほかに師匠の井伏鱒二のことや妻の入院について、そして小沼丹の作品に欠かせない大寺さんものなども収録されてる。収録されている作品に統一感はないけれど、どれも飄々とした文体で読んでいると落ち着きます。大寺さんものはいろいろな単行本にばらばらに収録されているので、大寺さんものだけをまとめた本を読んでみたいと前々から思ってるけど、実際、まとまった本を読んだらどんな感じなのだろうか。別々の本でときどき出会うことによって、気分的におもしろさが増しているという気もしないでもない。

-■先週の東京は雪。朝、駅に向かう時から雪が降り始めて、昼くらいには本格的になり、夕方にはかなり積もるという感じでした。こんなに雪が降るのは3年ぶりくらいかな。台風は特にテンション上がることはないけれど、雪が降っているのを見るとなんとなくテンションが上がるのは、雪の少ない神奈川~東京で育ったせいでしょうか。別に雪だるまやかまくらを作ったりするわけではなくて(むしろ生まれてから雪だるまやかまくらを作った経験なんてほとんどない)、普段見ている景色が変わるのを見てるだけで楽しい。さすがにいい大人なので、次の日に会社休んでどこかに出かけたりはしないけど、ほんとうは、裏道のたくさんある街に出かけて行ってうろうろしたいと思う。歩き回って体が冷えたら喫茶店でコーヒー飲んで暖まったりしてね。

-■そんな雪が降ったあとの週末に北海道から友だちが遊びに来て一緒にごはんを食べたり、伊千兵衛でやっていたサウンドマナーに行ったりしました。東京が寒いと言っても札幌に比べれば寒くないよと言っていたけど、7年くらい前かな、その友だちが東京に来てうちに泊まった時も、たしか雪が降ってた。
その友だちは、90年代の終わりころに、Club Heavenで知り合ったんだけど、20年近く経って、Dropから変わった伊千兵衛でのイベントに行くというのもなんだか不思議なタイムスリップ感がありました。ただ残念なことにイベントにはその人を知っている人は来てなかったんですけどね。伊千兵衛は、一時期イベントをやってなかったのですが、最近ギターポップなど、昔のClub Heavenからつながっているようなイベントが多くなってきてるのに、サウンドマナーという不思議な曲ばかりかかるイベントだったので、楽しんでもらえたかどうかはわかりません。やなぎはらさんがかけるアジアの曲にかなり反応してて、「今東京ってこういうのがはやってるの?」って言ってましたが、まぁ流行ってません。やなぎはらさんだけです(笑)。