「ぼくの遊びはヒップ・ステップ・キャンプ」-武市好古-

-■武市好古は、1950年代後半から1960年代初めに劇団四季演出部に在籍し、その後、アメリカに渡りラスベガスでショービジネスの演出などをして、帰国後は、ステージの演出家、映画監督、ジャズや映画の評論家として活動した人。といってもわたしはそのステージも映画も見たことはないです。本もそれほど多く出ているというわけでもないですしね。これは、劇団四季に在籍した頃かラスベガスでショーの演出をしていた頃のことをつづった本で、基本的には楽しければ、おもしろければいい!仕事はそれにともなってやってくるし、生きてく、そして遊ぶためのお金もついてくるって感じが1960年代から1970年代ぽい。

■イメージでしかないけれど、1970年代までって「何しているのかよく分からないしどうやって食べてるのか分からないけど、おもしろい人」という人がたくさんいたような気がする。1980年代になると、いろいろなことがもっと細分化して、専門的になってきて、いろいろなことをしている人でも、主となるものがはっきりしてきて、1990年代以降になると、「何しているのかよく分からないしどうやって食べてるのか分からないけど、おもしろい人」という人はいなくなって、「何しているのかよく分からないけど、お金を儲けてる人」になっちゃう感じですね。適当ですが‥‥

■多分、これを読んで感化されたとしても、こんな風に生きるのはもう無理だけど、若いときに、いいと思うか、こいつなんだよと思うかは別として、ちょっと読んでみて、こういう世界もあったんだなというのを知るのはいいかもしれません。少なくとも、50歳近いオッサンが読んでもね、という内容。まぁ勢いあるし、引き込まれて一気に読んじゃったけどね。そういえば、10代の終わりから20代の初めにかけて、晶文社から出てた「就職しないで生きるには」シリーズ読んだなぁ。レイモンド・マンゴーや早川義夫の「ぼくは本屋のおやじさん」とかね。だからといって早川義夫の本を読んで古本屋(ネットだけど)を始めたわけでもないですけどね。

■ふと気がついたのですが、本が好きで本屋でバイトしたり、音楽が好きでレコード(CD)屋さんで働き始めたりするのが、なんとなく普通の感覚になっていたけど、今って本屋さんもレコード屋さんももう少なくなっちゃってるから、簡単にそういう感じで働き始めて、またそこで働くことによって知識や経験を積むってことがなくなってるんでしょうね。で、小さい頃から電子書籍で本を読んで、ダウンロードで音楽を聴いたりしている人たちが増えてくると、そもそも本(?)や音楽は好きだけど、実際にお店で買ったことがないって人も出てくるのかもしれないと思うと、不思議な気分になります。昭和の人からするともう全然感覚が変わっちゃう。いや、もうすぐ平成も終わっちゃうんで、平成生まれでさえ古い人になっていくんだろうなぁ~

■というわけで、2017年ももうおしまい。特に一年を総括するような出来事があったわけでもなく、(まぁまぁ仕事に追われつつ)過ぎていった一年でしたが、皆さまありがとうございました。来年は今年よりももうちょっと動きますので、よろしくお願いします。

「別れの手続き」-山田稔-

-■4月からなんとなく仕事が忙しくなって、家に帰るのが遅くなったせいで、帰ったら発送とかやらなくちゃいけないことだけやって、レコードを聴いたりしながらビールを一本飲んでおしまい。という日々が続いてまして。もうぜんぜん雑記を更新する気も起きず。特に書くこともない、というか書くことなんて考えないと出てこないわけで、考える気分にもならず、気がついたら半年以上経ってしまいました。このままなしにしちゃってもいいかなとも思っていたのですが、自分の備忘録的な意味もあるし、のんびりでも書いておこうかなと思って再開することにします。

■一応、読んだ本をきっかけにして書いているので、どこから再開すればいいのかちょっと迷いましたが、思い切って中断する前からさかのぼります。本の内容は、もう記憶も薄れてるのもあるし、読み返すのもなんなので、本についてはツイッターとかにちょこっと書いたことだけという感じが続くのだろうと思います。いつになったら追いつくのだろうか?来年の今ごろか。

■いや、何年か前にもすごく忙しいときがあったのですが、その時はまぁまぁ新着本も雑記も更新できてたんですよね。それができなくなったというのは歳のせいで体力や気力がなくなってきてるんでしょうか。単に家で飲むビールの量が増えたせいとも言えますが‥‥雑記だけでなく新着本の更新頻度も落ちてるので、気がついたら在庫のほうもけっこう減っちゃってるし、来年に向けて少しずつ作業量を増やしていきますよ。

■「マビヨン通りの店」や「八十二歳のガールフレンド」など、過去に山田稔が出した随筆集から13編を収録した本。タイトルになっている「別れの手続き」は亡くなった母親のことをつづったもので、このほかにも山田稔が若い頃に出会った人たちとの、ときには何十年もの年月にわかる出来事が、短い文章の中で行き来しながらつづられています。とはいうものの、全体的に重い雰囲気や過ぎ去ってしまったものへの哀しみが漂うことはなく、軽やかなユーモアがあって心にすっと入ってくる感じが読んでで心地よいです。
特に文体が似ているというわけではないけれど、堀江敏幸の解説を先に読んだせいで、ときどき堀江敏幸の文章を読んでいるような気持になり、「1966年にパリにいたころ‥‥」みたいな文章を読んで「あれ?1966年?」という気持ちになってしましましたが。

■しかし、去年のクリスマスの時に、ミオ犬から、「欲しい本があったら教えて」と言われて、ついこの本を指定してしまったのですが、本をもらってから奥さんからクリスマスプレゼントとしてもらう題名の本ではないな、ということに気がつきましたヨ。あ~あ~