「モーニング物語」-獅子文六-

-■同じシリーズの「山の手の子町ッ子」はときどき見かけるけど、こちらは見たことがなかったので、ちょっと値段が高めだったけれど、めずらしく即購入。しかし収録されているうち半分くらい読んでました。でも獅子文六の随筆は何度読んでもおもしろいので許す。話のテンポがよくて読みやすいということもあるけれど、話の持って行き方に品があるというか、慶応の野球選手だったお金持ちの旧友が、後年後楽園の入り口でモグリの客をさばいていたりする話なんて、書き方によっては下世話になってしまいそうなのに、そういう方向にはいかない。旧友なんだけれど、旧友だからと言うわけではなく、威厳を持ってその仕事をしている様が描かれており、悪意がない(まぁ実際はどうなのかは別で、獅子文六はそう感じてる)。そういう品の良さが小説にも出ていて、それをよいと思うか、軽いと思うかで獅子文六への評価って変わってしまうんだろうな、と思う。
ちなみに表題はパリの留学時代に仕立てたモーニングの50年にわたる話で、それほど着る機会もないまま戦火も逃れ、数少ない機会のために補修をし、最後には流行がひと巡りしたため現代風に感じられてしまうというオチになってます。ってわざわざ書いたのは、読むまで「モーニング物語」の“モーニング”は、“朝/午前中”だと思っていたので、読み始めて「あれ?」と思ったからw。

-■漣くんがちょっとだけ戦国武将に興味を持ってきてるので、3連休は二宮に行くついでに小田原城に行ってきました。お城の中に入るのは小学生くらい以来かな。子どもの頃は平塚に出ることが多かったし、中高生になると横浜まで行っちゃうことが多かったので、あまり小田原に行った記憶がない。でも車から外の景色を見ていたら、昔ながらの建物がまだいくつも残ってるし、川崎長太郎の小説に出てくる抹香町もあるし、今になるとゆっくり歩きたいと思うところがたくさんある。
そういえば、ニュースサイトを見ていたら、村上春樹の新しい本「騎士団長殺し」は小田原が舞台になっているって書いてあったけど、小説の中に地名とか出てくるのでしょうかね。

■ところで、子どもが小さいときは手を離せなかったので、なかなか一人で出かけることができなかったけど、ある程度成長したら、親に子どもたちの相手をお願いして、一人でちょっと出かけたり、学生時代の友だちと飲みに行ったりできるかな、とずっと思ってたんですけど、当然ながら子どもが成長するにともない、親も歳を取ってしまって、最近は男の子二人をあずけるのはちょっとためらってしまいます。あぁむずかしい。なにげに国府津とかも歩いてみたいんですよねぇ。