「花森安治戯文集1〈逆立ちの世の中〉ほか」-花森安治-

-■昭和29年に刊行された「逆立ちの世の中」と、「暮しの手帖」以外の雑誌・新聞に寄稿した文章を掲載したもの。ファッションやゲージュツ、戦後の世相などについて独特の口調で語っている。最初に花森安治の本を読んだのはいつだったか忘れてしまったけれど、それほど熱心に「暮らしの手帖」を読んでいたわけではなかったので、この絵を描く人がこんな文章を書くんだという感じでちょっと違和感があったけど、最近は慣れてきました。むしろ内容的には辛辣なことを言っているので、この口調によってきつさを緩和しつつ、読む人にストレートに訴えかけてきているような気がします。
こういうことって誰もが思っているけど、普段の生活の中では忘れていて、流されている部分なので、繰り返し心に刻みつつ行動していかないとダメで、そういった意味では「暮しの手帖」という定期的に読まれる雑誌媒体で読まれ、引き継がれていくべきものなのだろうなと思う。こういう分厚い本でドンとまとめられるものではないかもね、なんてことを考えていたら、「逆立ちの世の中」は中公文庫から出てました。

■4月から始まった朝ドラが「暮しの手帖」の大橋鎭子をモデルにしているということで、ミオ犬が毎日録画していたので、めずらしく見てみようかと思っていたのに、気がついたら何週間も溜まってしまい、結局ぜんぜん見ていない。ツイッターとか見ていると、「暮しの手帖」に思い入れがある人ほど、いろいろ言っていて、それほど思い入れがない人は楽しく見ているようだ。わたしの会社の人なんて、「朝ドラを見るのが唯一の楽しみ」と言っていたのに、話していたら花森安治もそもそも「暮しの手帖」さえ知らなかったんでびっくりしました。まぁそういうものなのかもしれないですね。

「食魔 岡本かの子食文学傑作選」-岡本かの子-

-■岡本かの子の食に関する作品を集めたもの。前半は小説、後半は随筆は収録されている。随筆のほうは昭和の初めに一家でヨーロッパを巡った際の体験談が中心で、さまざなま国でのレストランでの様子などがつづられている。本を買った時は随筆で一冊にまとめてほしかったけど作品数が足りなかったのかな、などと、小説のほうはあまり期待していなかったのだけれど、好き嫌いが激しくてやせていく子どもを心配する母親が、子どものために手製の鮨をにぎる「鮨」や、どじょうを食べることについての老人の執念を描いた「家霊」、北大路魯山人をモデルにしたという美食の道に尋常でない執念を燃やす主人公を描いた「食魔」など小説のほうがおもしろかったです。ほかの作品も読んでみたいけど、どんな感じなのだろうか?

-■今年も府中競馬場の花火大会に行ってきました。去年は急に来られない人がいたりして、結局、子どもと3人で見たのですが、今年は5家族くらいとかなりにぎやかな中での花火でした。一緒に行った人が朝、場所取りもしてくれたときは、すでによい場所は取れれていたらしく、木で視界が遮られてしまう場所だったのですが、年々人が多くなるといっても通路となっているところに移動してみるくらいの余裕があるので、夕方くらいから飲んだり食べたりしながら、花火が始まったちょっと移動するという感じ。花火の時間も30分くらいですしね。
府中競馬場の花火大会は、それほど大規模というわけではないけれど、花火が打ちあがる場所が近いので、きれいに見れるし迫力もあるし、なにより会場まで行くときや帰りに行列になったりすることもなくてのんびりした雰囲気がいい。
昼間に地元の人と話していたら、府中競馬場の花火大会は、昔はバブルガム・ブラザーズや高中正義といった人が出て、花火に合わせて演奏していたりしていたらしいです。

■立川のグランデュオに入っていたオリオンパピルスが7月で閉店してしまうらしい。立川に行ったときは必ず寄って、本をチェックしたり、子どもたちに絵本を読んだりしていたので、さみしい。雑貨も本もきちんとしたラインでセレクトされていたし、お店の雰囲気もよかった。駅ビルに入っている書店としてはそれほど広くはないけれど、セレクトショップとしては広めという、子どもたちを連れてざっと本をチェックするにはちょうどいい広さで、しかも平積みにされている本が多くてチェックしやすかったので残念。
グランデュオは前はアメリカンファーマーシーも入っていたのになくなってしまったしなー(その前の中華街の時もわりと好きでした)

「屋根裏プラハ」-田中長徳-

-■何年か前に写真家が書いた本を読もうと思っていた時にリストアップしていた本なのですが、田中長徳さんのことは写真家というよりもライカのコレクターということくらいしか知らない。写真についてもこの本に掲載されているもの以外できちんと見たこともないです。もしかしたら広告の写真とかで知らないうちに見ているのかもしれませんが。
この本は、1970年代から東京とプラハを行き来している著者が、2000年代の出来事から1968年のプラハの春~1989年のビロード革命という2つの節目を軸に、はじめてプラハに行ったときからの出来事を回顧したも。プラハの街を写真撮影する様子やプラハと東京で行われた個展の準備から開催した時の話、プラハでの友人たちとの交流を中心にしつつ、プラハ出身の写真家ヨゼフ・スデクについてといったことがつづられている。どのエピソードもその裏にプラハの春、ビロード革命が潜んでいたり、著者自身の年齢も含めてそこはかとなく暗い影を落としていたりして、そこがなんとなくですがプラハの街のイメージを重なってこのエッセイの魅力にもなっていると思う。
しかしこう言っちゃなんですが、この本自体はおもしろかったけど、まぁ田中長徳の写真集を買おうとかは思わないかも。ヨゼフ・スデクの写真集は欲しいけどね(amazonを見たらマーケットプレイスで3万くらいだった‥‥むむ)。

■土曜日はイイトコ宵の市でした。ポータブルプレーヤーのセッティングできれいに音が出ないなどちょこちょことトラブルもありましたが、5時にスタートしてからはのんびりとレコードを回しつつビールも飲めてわたし的にはかなり楽しいイベントでした。もうレコードかけるのとビール飲むので古本屋のことなんて半分忘れてました。ときおりかけてるレコードの写真を撮る人がいたり、体を揺らしてる人がいたりしたので、来てくれた人も楽しんでくれてたらいいなと思う。そしてテンチョには聞いてないけど、ビールの売上げが伸びてくれていたらうれしい。
わたしは普段クラブではかけられないジャズ系のものから60年代ポップス、夏っぽい歌謡曲、そして最近よく買っているレゲエをバラバラとかけてみました。もう少しジャンルを絞ったほうがよかったかなとも思うけど、どんな音楽で喜んでもらえるかまったく分からなかったので仕方ない。しかもけっこう曲の途中でカットアウト、インしちゃったので、想定していたよりもかなりの枚数をかけました。
そのあとは、一緒にDJとしたマチャさんやレコード屋のハイフェデリティさん、幼稚園のお父さん友だちと、1階の居酒屋で12時過ぎまで飲んでました。帰りはふらふらでしたが、飲んだ後、自転車で帰れるのは楽だなー

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■武蔵小金井でどこかお店を借りてイベントをやったりするのは、ちょっと難しいかな、と思ってて、そもそもそんなお店もないんですが、今回、イイトコ市でBGM係をやってみて、こういう風にポータブルプレーヤーで出張する感じでBGM係をするのも、いつものイベントの雰囲気と変わっておもしろいなと思いましたね。ということで、小金井近辺でイベントをやっている方、もしよろしければ声をかけていただければと。よろしくお願いしますー!