■昭和29年に刊行された「逆立ちの世の中」と、「暮しの手帖」以外の雑誌・新聞に寄稿した文章を掲載したもの。ファッションやゲージュツ、戦後の世相などについて独特の口調で語っている。最初に花森安治の本を読んだのはいつだったか忘れてしまったけれど、それほど熱心に「暮らしの手帖」を読んでいたわけではなかったので、この絵を描く人がこんな文章を書くんだという感じでちょっと違和感があったけど、最近は慣れてきました。むしろ内容的には辛辣なことを言っているので、この口調によってきつさを緩和しつつ、読む人にストレートに訴えかけてきているような気がします。
こういうことって誰もが思っているけど、普段の生活の中では忘れていて、流されている部分なので、繰り返し心に刻みつつ行動していかないとダメで、そういった意味では「暮しの手帖」という定期的に読まれる雑誌媒体で読まれ、引き継がれていくべきものなのだろうなと思う。こういう分厚い本でドンとまとめられるものではないかもね、なんてことを考えていたら、「逆立ちの世の中」は中公文庫から出てました。
■4月から始まった朝ドラが「暮しの手帖」の大橋鎭子をモデルにしているということで、ミオ犬が毎日録画していたので、めずらしく見てみようかと思っていたのに、気がついたら何週間も溜まってしまい、結局ぜんぜん見ていない。ツイッターとか見ていると、「暮しの手帖」に思い入れがある人ほど、いろいろ言っていて、それほど思い入れがない人は楽しく見ているようだ。わたしの会社の人なんて、「朝ドラを見るのが唯一の楽しみ」と言っていたのに、話していたら花森安治もそもそも「暮しの手帖」さえ知らなかったんでびっくりしました。まぁそういうものなのかもしれないですね。