■著者のアレックス・カプラノスは、フランツ・フェルディナンドのヴォーカル&ギターを担当している人で、バンドのツアー先で食べたものについて書いた本。B級グルメからミシュラン星つきの高級レストランまで幅広い店が登場する。まぁだいたいB級グルメぽいものが多いのかな。日本では名古屋の「幕の内弁当」や大阪の「フグ」という、なんで名古屋で幕の内弁当?大阪でフグ?と日本人なら突っ込みたくなるような、地域と食べものが選ばれてます。ほかの国もそんな感じなんだろうなぁ~
とはいうものの、下積み時代にシェフやウェイターなど飲食業についていたということもあって、料理方法についての言及や厨房の中の様子などについても書かれていたりして、単にロックミュージシャンが食べものについて書きましたという感じではないです。
原文は分からないけれど、文章も音楽と同じくひねた感じの言いまわしで、若干読みにくいところもあるけれど、読んでいるうちにその言葉のリズムにはまってしまいます。ちなみに翻訳者は実川元子。わたしの中では映画化された「おれたち、ザ・コミットメンツ」で有名なロディ・ドイルの本の翻訳を手掛けていたというイメージで懐かしい。なぜか「おれたち、ザ・コミットメンツ」は実川元子の翻訳ではなく、サザンオールスターズの関口和之なんですけどね。
■これを読むなら一緒にフランツ・フェルディナンドも聴かねば、などとと思い、久しぶりに「Franz Ferdinand」や「You Could Have It So Much Better」をiPhoneに入れて聴いていたら、ほかのバンドも聴きたくなり、しばらくの間自分の中で2000年代のUKロックのプチブームが起きてました。と言っても当時聴いていたものを聴き返してるだけですけどね。でも久しぶりにUKロックとか聴くと朝から気分があがりますね。
で、結局、1番聴き込んだのは当時も好きだったThe Viewの「Hats Off To The Buskers」とLittle Man Tateの「About What You Know」だったりします。わりと基本的にいいメロディに後ろでギターがジャカジャカ鳴ってればOKって感じなんで。Little Man Tateはセカンドアルバムを出した後、解散してしまったみたいだけど、YouTubeでちょっと聴いたらいい曲だったので、どこかでセカンドアルバムを見つけたら買おうと思ってる。
あと当時はそうでもなかったけど意外にBabyshamblesがよかったりして、今さらながら今までスルーしてきたThe Libertinesを買ってみようかなんて思ってしまいました。
■洋楽も邦楽もそうだけど、もう2000年代の音楽って古い感じがまったくないのね。それは自分が歳を取ったというせいもあるし、実際に古くなっていない(言い換えれば新しくなっていない)という部分もある。加えて歳を取って自分の好みが固まってきて、自分の好みの範囲で音楽を聴いてしまうということもあるかな。
なんとなく1997年~1998年くらいからもうあまり古くない感じですかね。特に邦楽はそんな感じがします。くるりやスガシカオ、椎名林檎、キリンジ、クラムボン‥‥とかね。というのも先週、ETVで渋谷系を特集した番組が放送されてて、自分は結局最初の5分くらいしか見ることができなかったんですが、その番組に出ていた20歳くらいの女の子が、渋谷系はぜんぜん知らない。よく聴くのは椎名林檎、みたいなことを言ったのに「んん?」って思ったから。まぁその後の活躍もあるけど、渋谷系と椎名林檎って2、3年くらいし変わらないのに、その差ってなんだろうとちょっと思う。そして自分の中ではこの辺の時からリアルタイムで邦楽を聴いてない感じなので、詳しくは語れません。