「茶の木」-木山捷平-

■担当する編集者(女性)が庭に植えてある茶の木について話したにも関わらず、その近くのツゲの木について、どうやって手に入れたかなどからとくとくと語り出すという「茶の木」や指の怪我を治療するという名目のひとりでの温泉旅行、太宰治の思い出などをつづった随筆集。
特に大きな出来事やオチがあるわけでもない題材だし、なんとなく前にも読んだようなエピソードもあったりするけれど、おもしろくてつい夢中で読んでしまう。講談社文芸文庫でも多く出ているけれど、ちくま文庫あたりで全集を出して欲しい。(昔に出た全集は日本の古本屋で検索したら全8巻で8万くらいでした‥‥)

-■土曜は、小雨の降る中、高円寺から神保町、初台、荻窪、吉祥寺をぶらぶらと歩く。漣くんを幼稚園に送ってそのまま出かけたので、高円寺の古書展に着いたのが10時過ぎ、今までそんなに早く行ったことがなかったので、のんびり見れるかな、なんて甘いこと考えていたのだけれど、いつもより人でいっぱいでした。しかも年齢層がかなり高い。最近は古書展も若い人や女の人なども増えてきてると思っていたのですが、やはり主となる利用者の年齢層は変わっていないのだなぁと実感。本を見る側としてはどちらでも構わないんですけどね。しかし、ここ以外、中央線の週末の朝は遅いので、ほかに行く場所もなく移動するしかないという。やっぱりゆっくり出かけるのがいいね。
でも時間的に、漣くんを幼稚園に送って、そのまま高円寺に行って、戻ってきて幼稚園のお迎えに行くということができるんじゃないかと思った次第。4月になったら試してみようかしらん。

-■神保町ではさぼうるでナポリタンを食べる。さぼうるに入るのも何年振りか。昼時なので当然相席で、窓の外を見たら待っている人が見えたりして、のんびりはできなかったけれど、山盛りのスパゲティに満足。神保町は個人店が多いイメージだったけど、いつのまにか、チェーン店が増えてるし、行くたびに古本屋も1、2店閉店しているような気がします。ディスクユニオンの移転元がはなまるうどんになっていたし‥‥。ちなみにディスクユニオン自体は、道のの向かいに移転してきれいになってます。Jazz TOKYOといい、なんだかディスクユニオンはどんどんきれいに、おしゃれなイメージになっていくな。アナログレコードも流行ってるらしいしね。
あと、新しい古本屋で料理関連の本が充実しているところが増えてますね。お店の中で「こんな本もあるんだなぁ」なんで思いながら、棚の本を見てると、カヌー犬ブックスをこれからどうしていくべきなのか、悩みます。

-■その後、都営新宿線に乗って初台へ。東京オペラシティーギャラリーで3月29日まで開催されている「スイスデザイン」展を見る。江戸時代の後期、スイスとの国交開始の時期に作られた版画や資料から、「観光立国」を進めるにあたってのデザインを重視し推し進めた時代のポスター、そして近年のプロダクトの紹介など、スイスのデザインを俯瞰できる内容となっていました。
個人的には20世紀半ばのスイスのグラフィックデザインの黄金時代のものをもっと見たかったような気がしますが、それはそれでまとめられたものもあるし、見る機会もあると思うので、まぁいいかな、と。
州ごとにデザインされたものや何かの記念で作られたものなどたくさんの万能ナイフが展示してあってちょっと欲しくなってみたり‥‥帰ってきて久しぶりに「構成的ポ スターの研究―バウハウスからスイス派の巨匠へ」をめくってみたり‥‥。最近、デザイン関連の本を買わなくなってしまったので、たまにはリブロとかに行ってデザイン書をいろいろ見てみたよう、などと思っていたら、池袋のリブロが移転とか。う~ん。

「明日の友を数えれば」-常盤新平-

■70歳を超え、ささやかな楽しみとして町を歩き、海外文学だけでなく時代小説など幅広いジャンルの本に親しみ、喫茶店でコーヒーを飲む、そんな日々や、昔に知り合った友だちについての回想がつづられたエッセイ。2012年12月に出た本。亡くなったのが2013年1月22日なので、生前最後の本なのだろうか?古本屋で手に入れた本には亡くなった時の新聞記事が挟まれてました。そういう本をなんで売っちゃったのかな、とも思うけれど、そういうものが本に挟まれていたりするのも古本の楽しみの一つ。
ちなみにわたしが買った本で一番「お!」と思ったのは、ある有名ミュージシャンのカープのクレジットカードの申込書類のコピーが挟まれていた時ですね。住所などはもちろん、クレジットカードなんで年収とかも記載されてました。あれはカード会社の社員とかが勝手にコピーしたんでしょうかねぇ。って、そのコピー捨てた記憶がないけど、どの本だったのか忘れてしまっているので、自分の蔵書を売った際にその本が混ざってたら、またどこかの古本屋で挟まったままで売られてしまうことに‥‥

-■今年は、3月に入ってもまだ寒い。自分の中では、2月の真ん中くらいから暖かい日が時々ありつつ、3月になると、ダッフルとかPコートとかもおしまいという感覚なのだけれど、当分はこの寒さが続きそうで、Pコートが手放せない。早く暖かくなってほしい。気分的にはもう春の気持ちで、先日、泥酔ファンクラブでギターポップ/パワーポップを聴いたせいもあって、頭の中では、Groovy Little Numbersの「Happy Like Yesterday」がリピートされたりしてて、今年はギターポップでも聴いてみようか、なんて思ってる。どうなるか分からないけれど、とりあえずマイスティースとかデタミネーションなどiTunesに入っているスカ~ロックスディ、ダブのアルバムをiPhoneに入れてみた。春になってこの辺の音楽を聴くのも、定番になりつつある。

-■会社の帰りにツイッターを見ていたら、2000年代は1998年から始まったというツイートがあってなんとなく実感。コーネリアスの「ファンタズマ」と小沢健二の「ある光」でおしまい。で、2000年の始まりとしてくるりもやクラムボン、ナンバーガール、スーパーカー、椎名林檎、ドラゴンアッシュなどが出てくる。個人的にはスーパーカーをちょっと聴いたくらいでどれもあまり聴いたことがないので、2000年代の音楽として実感がないけど、なんとなくわかる。
じゃ、何を聴いてたのかと言えば、スカ~スカコア~ダブとエレクトロニカがわたしにとっての2000年代の邦楽、になるのかな、と思う。あと、セカンドロイヤルとかか‥‥。
スカ~スカコア~ダブは、まぁ90年代もスカパラやスカフレイムスもいたし、クラブでのイベントも定期的に開催されていたけれど、1990年代終わりから2000年代にかけてたくさんバンドが出てきたのはなんだったのだろう?エイベックスが、スカパラをはじめこの辺のバンドと契約しまくって、あっさりと手放していったのを思い出したりする。この辺のバンドも気がつけば次々と解散してしまった。しばらくはメンバーのソロを追いかけていたけれど、最近はどんな活動しているのかわからない。新しいバンドが出てきてるのかも不明。毎年、同じバンドの買いそびれたアルバムを買い足していってるという感じなので、もう少し広げていきたい気もする。riddimとかチェックすればいいのだろうか?

■現像に出していた、修理後に撮ったイコンタのフィルムをようやく取りに行けた。心配はしてなかったけれど、実際にちゃんと撮れているのを確認できてうれしい。これから暖かくなって外に出る機会が増えたら、またいろいろ撮りたいと思う。色合いも買ったばかりの頃に近くなっていて、露出やシャッター速度も調整されているよう。基本的にイコンタで撮る写真は露出をかなりオーバーにして、シャッタースピードも遅めにしてるので、全体的に薄い感じの色合いになる。当然、動いているものを撮るとたいていボケてる、もしくはぶれてるのだが‥‥最近は、ちゃんと設定どおりに動いていなかったせいか、思うような色合いにならなくて、だんだんと設定が極端になっていっていたので、ちょっと気をつけつつベースとなる設定を決めなくちぇ。
しかし、吉祥寺のヨドバシカメラは行くたびにフィルムカメラのコーナーが縮小されていって、今では、カウンターとちょっとフィルムが置いてあるくらい。周りはカメラですらなくなってて時計売り場になってるというね。あ~あ