「河岸の古本屋」-河盛好蔵-

◆ジパング・スティール・バンド@コピス吉祥寺
河盛好蔵の本を読むのは初めてかな。一年くらい前にフランス文学者のパリ滞在記をまとめて読んでみようと思って、辻邦生や山田稔、森有正、平岡篤頼などの本をいくつかピックアップしてみたのだけれど、その時にリストに河盛好蔵の「巴里好日」などもその中に入っていたはずなんだけど、リストを作っていくうちに、いろいろ広げすぎてしまって、気がついたらかなり多くなってしまったにもかかわらず、リストにあげた本を古本屋で意外と見つけられなかったこともあって、けっきょくあんまり読んでない。

そのときに思ったのは、フランス文学に関しては、戦前戦後にかかわらずフランス文学を研究するファーストステップとしてフランスに留学している研究者が多いってことですね。それに比べると、英米文学を勉強するためにイギリスやアメリカに留学する人はあまりいないような気がしますが、実際どうなんでしょうか。
単純に考えると、戦前は海外文学と言えばフランス文学が主流だったし、今と違って情報が多いわけではないので、まず現地に行く、というのが一番の方法で、その伝統が戦後も引き継がれているってことなのかな。適当ですが。逆に戦前にアメリカに留学っていうのもなさそうだし、イギリスは夏目漱石の失敗が‥‥とか?

それにしても文学者に限らず、昔も今もパリ滞在記というのはものすごく多い。パリに行くと何か書きたくなるものなんでしょうかねぇ~そしてそれを読みたいと思っている人が多いんでしょうねぇ~

この「河岸の古本屋」もタイトルから、河盛好蔵がパリに滞在したときに、セーヌ川沿いに並ぶ古本屋を見て回った話なのかな、と期待はさせますが、滞在記というわけではなく、13世紀から現代にいたるまでのセーヌ河岸の本屋の盛衰を描いたもの。
このほか、パリ、あるいはフランスについてつづったものや読書論、親しい作家の追悼文などが収録されてます。随筆集なので内容の統一感がないのはいいんですが、文章の種類というか、さらりと書いたようなものと「河岸の古本屋」のようにきちんと文献を調べて書かれているものが並んでるのが個人的にはちょっと違和感を感じました。河盛好蔵のいろんなタイプの文章を読めるという意味ではいいのかもしれませんが‥‥。

週末は、吉祥寺のコピスのウッドデッキで行われていたジパング・スティール・バンドの演奏を見てきました。ジパング・スティール・バンドは、パノラマスティールオーケストラなどにも参加している佐々木謙太朗さんがやっているバンド。何年か前、井の頭公園で一人でスティール・パンを演奏しているの聴いて、その後すぐに雑貨屋でのライブを見に行ったとき以来(一昨年の秋とか?)、時々チェックはしていたのですが、なかなか聴きに行く機会がなかったのですが、コピスとかだと気軽に見れてうれしい。しかもソロではなく、さまざまな音階?のスティール・パンによるバンド形式!野外っていうには大げさかもしれないけど、外で大きく響き渡るスティール・パンの音を聴けるのはかなりぜいたくな気分でした。

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漣くんも前に出ておかしな踊りとかして楽しそうだったし、定期的に演奏しているみたいなので、次回はウッドデッキのイスに座ってビールを飲みながら聴こうかな、とか思ってます。ちなみに、今回はムーミンスタンドで買ったミックスベリーのドリンクでしたが‥‥。

「わたしの東京」-安藤鶴夫-

◆一番、日本を感じられる季節
安藤鶴夫の本に限ったことではないけれど、昔の東京についての随筆の多くが、年末からお正月のできごとや風景などを中心に書かれているような気がします。日本には四季がありそれぞれの季節での楽しみがあるというけれど、やはり年末年始は、一年のうちで一番日本ぽさを感じられる時期なんでしょうね。
今でも一年の中で一番日本を感じることのできる時期を考えたら、昔に比べればぜんぜん様子が違っているけれど、全体的に昔からの日本の行事の大切にする気持ちが低くなっているなかで、逆に「お正月くらいは‥‥」という気持ちもあってこの時期を思い浮かべる人が多いのではないかと思いますがどうでしょ。わたしはけっこうクリスマスが終わってから、お正月までのあいだが、慌ただしいような、ちょっとのんびりしているような感じがして好きですね。

そんな風にして、どことなくお正月気分をひきづっていると、あっという間に1月が終わってしまうというのは毎年のことで、実際に気がつけばもう2月。でも、思えば特にお正月にお正月らしいことをしたわけでもないので、「お正月気分で」というのも単なる言いわけというか、紋切り型のあいさつに近いのかもしれませんが‥‥。

なんてこと書いたまま放置していたら、旧暦のお正月も過ぎてしまいましたとさ!