「幻のイマージュ」-エルヴェ・ギベール-

■何年か前に、評論家ではなく作家や写真家自身が、写真について書いた本を読んでいたときに思い出して再読しようと思ってた本。このシリーズは、ジャン・フィリップ・トゥーサンとかの本も出てて1990年代半ばころにかなり話題になったけれど、あまのじゃくなんでその時には読んでいなくて、実際に読んだのは少しあとくらい。「幻のイマージュ」というタイトルに惹かれて手に取った記憶があります。多分、堀江敏幸の文章を読んだのはこの本が1番最初になると思うんだけど、もちろんその時は翻訳者として意識していないし、その何年後かに堀江敏幸の本に夢中になるなんて思いもしていませんでした。

■ほかの作家が書いた写真をめぐるエッセイと同様に、ときには自身の物語となり、ときに普遍的な写真についての物語となり、ときに抽象的なイメージの記述が混ざりこみ‥‥といった具合に輪郭がぼんやりとしてはっきりしない。そしてそこにこれらの本のおもしろさがあります。この手の本を読んだ後にいつも書いているような気がするけれど、また気が向いたときに読み返すために手元に置いておいておきたいですね。
そういう意味では、ロジェ・グルニエ、ロラン・バルト、スーザン・ソンタグ‥‥など、写真についての本をシャッフルして、記載されている写真を載せたり、写真家についての注釈を入れたりして、アンソロジーというか、バラエティブックみたいな形にまとめたらおもしろいんじゃないかな、なんて適当に思ったりもします。どれもそれぞれの章はそれほど長いわけではないし、最初から読まなくちゃいけないというわけでもないですしね。

■なんとなく書く気にもなれないままで放置していたら、3か月も経ってしまいました。いつのまにか年も明け、一年の振り返りもなし。こんなに期間が空いてしまったのは、一時期、わけあってサイトを更新することを自粛していた時以来ですね。特に何をしているというわけでもないけれど、簡単にでも毎日の出来事とかを書いておくのもいいかな、と思うんですけどね。まぁめったに読み直すことはないですけど。

-■年末年始は、お休みのギャラリーも多いので、写真展などに行けてませんが、年が明けてから、平林秀夫挿絵展 「コトバと言葉の間」と渡邉知樹展「花、花、ギガンテス、花」を見てきました。平林さんの挿絵展は、小金井でリアカーにコーヒーを淹れる用具一式を積んで、公園やお店の前などでコーヒーを淹れている出茶屋さんのエッセイ「今日も珈琲日和」の挿絵などを展示したもの。場所もいつも出茶屋さんが出ている平林さんの平屋で、絵を壁に展示するだけでなく、一つ一つ本を開くように絵を見れる形のものがあったりして、出茶屋さんのコーヒーや平林さんの作ったカレーを飲みながら、何度も見返してしまいました。鉛筆で細かいところまで丁寧に描かれているので、本を見た時とは印象が違って見えたり、一見すると、ちょっと怖い感じの絵もじっと見ているとユーモアが隠されていたりするのが興味深かったです。

-■渡邉知樹くんの個展は、前回のにじ画廊以来かな。ピンクを基調とした抽象画で、ギャラリー自体がピンクに染まっているようでした。タイトルに「花」がついているように春らしい、ポジティブな雰囲気の絵が多く、ピンクの色自体もさまざまなピンクの色が使われていて、立体的というか浮き立ってくる感じでした。
片隅には鳥のオブジェも置いてあり、今回も一つ購入。個展に行くたびに一つ一つ買っているこのオブジェも結構増えてきて、うちの鳥オブジェコーナーもにぎやかになってきました。漣くんと暁くんの好みが違うので、なかなか一つに選べないのが難点ですが‥‥。ちなみに今回は漣くんが選択したものを買ったのですが、いまだに「あっくんは足が角ばったのがよかったのに」と、ことあるごとに言っている始末。逆にもう少し成長したら、興味がなくなって、「どれでもいいよ」とか言うんでしょうか。