「わたしのいるわたし」-池田弥三郎-

◆「オハナミ」ライブatスーパーデラックス
スティールパンのCDというとたいていが“スタンダードソングのカバー+α」といったものがほとんどで、そこから抜け出しているものはあまりないんじゃないかなぁと思う。それはそれで好きなのでいいんだけれど、結局のところ、スティールパンの音楽として新しいものを提示してくれたミュージシャンといえば、ヤン富田とリトルテンポに尽きるのではないか、なんてことを考えたりしていたら、夏前くらいに、ミーモというバンドを知り、まぁミーモに関しては装飾が過多な気がして、自分の中の評価を保留にしているんだけれど、そこでスティールパンを担当している町田良夫のソロがヤン富田とは違うスティールパン+電子音楽なサウンドではまってしまっている、
いや、いろいろ聴いているつもりになっても、まだまだ知らないところで聴くべきミュージシャンがいるものなのだな、と。

-このオハナミは、その町田良夫とジム・オルークやカヒミ・カリィのバンドでドラムを担当している山本達久のデュオ。
10月の始めに出たファーストアルバムをこのところよく聴いているのだけれど、スティールパンや電子音といった町田良夫の世界と、山本達久による複雑で緻密、だけれど、軽快なリズムが絶妙にブレンドされていて聞き飽きない。
数曲をのぞいてゲストもなく、音を重ねることもなく、二人の演奏がそのまま録音されているようではないかと思うのだけれど、どうなんでしょう。空間を埋め尽くすような音像ではなくて、あくまでも音の数は少なめなんだけれど、極めは細かい、という感じが心地よいのです。

で、先週末にちょっとライブの情報を調べてみたら、なんと会社から近い、しかも前から行ってみたかったスーパーデラックスで20日にやるのこと。これは行くしかないでしょということで行ってきましたよ。初スーパーデラックス。
ちなみに「Cinematic Voices」というイベントで、出演者は、オハナミ、Yukitomo Hamasaki+shotahirama、okamotonoriaki、Jun kawabata+Hideki Atakaで、オハナミ以外まったく知らずだったんですけどね‥‥。

ライブではアコースティック?なスティールパンと電子スティールパン、そしてマックが置かれ、電子スティールパンからはピアノやギターの音が出るというセットで、CDで演奏されていたピアノやギターの音が実は電子スティールパンだったことが判明。つか電子スティールパンなんてものがあるなんて始めて知りました‥‥。
対する山本達久のドラムも、空き缶や鉄の棒やらはドラムセットの上に置かれ、それらのものをすごい速さで叩いたり、振り回したり、挙げ句の果てには投げたりするという、超絶なドラミングで、耳と目を奪われるばかり。かといって、わざとらしさや独りよがりなところはまったくないし、ほかの演奏をじゃまするようなうるささもなく、きちんと全体のサウンドに絡んでいるところがすばらしい。

複数の出演者が出るイベントなのでそんなに長いセットではなかったのですが、この演奏を、ゆったりとした空間の使い方をしているスーパーデラックスで、しかもこの観客数で聴けるなんてかなり贅沢だったのかも!?