◆森茉莉と吉田健一
こんな本を買うほど森茉莉が好きなのか、というと、そうでもない気がする。でも昔の永井龍男や山口瞳ほどでは全然ないけれど、今年の読書はは森茉莉が中心になっているのかもね。二人に比べてそれほど多くの著作があるわけではないので、そればかり読んでいるという風ではないですけど。
本人もどこかで書いていたけれど、非論理的な感情について論理的に話を進めようとしているところ(実際に論理的かどうかは別として)や、それなのに感情的に話がどんどん横道に逸れて行ってしまうところなど、吉田健一に似ている気がします。
吉田健一も志賀直哉の表現の解釈について、尾崎一雄につっこまれていたように、それほど論理的ではないし、殊に小説に関していえば、論理であらわせないものをいかに言葉で表現するか、ということが主題になっていると思ってます。あのつらつらと長い分も明らかに感情的ですよね。
なんとなく、吉田健一の話になってしまってるけど、吉田健一は、一見すると、ものすごく理屈っぽい話を展開させているように思えて実は、感情的な表現がされていて、森茉莉は、一見すると、女性的、感情的な事柄を、そのままはきだしているような感じなんだけど、読み進めていくときちんと自分のの中で論理だてて表現しているという、方向性は真逆がけれど、結果的には、同じような着地点にたどり着いているという感じかな。適当ですが‥‥。