なにかにせっつかれるように気を使い、どこか気の休まることがない山口瞳の紀行文や、世界中を旅し未開地にまでも入り込み、どちらかというと旅と言うより探検に近いような開高健の旅行記(こっちはイメージか)に比べると、柳原良平の旅は、マイペースでのんびりしていていい。この3人が同じ会社で机を並べて仕事をしていたのが不思議でもあり、これだけキャラクターが違い、それぞれがプロフェッショナルでもあるこの3人が同じ部署にいたら、できない仕事はないんじゃないかとも思う。なんとなく開高健が一番年上でそのすぐ下が山口瞳、ちょっと離れて柳原良平というイメージを持っていたのだけれど、実際に調べてみたら山口瞳が一番歳上で1926年生まれ、その下が開高健で1930年、柳原良平は開高健と一つ違いで1931年生まれ、だからどうしたということでもないけれど、「ふーん」と感じもします。アムステルダムで行われた帆船パレードの様子を描いた「オランダ紀行」とドイツとフィンランドの港、船をめぐる旅「北欧日記」でも、のんびりと、そしてどこかユーモラスな雰囲気で、楽しい。読んでいると素直にオランダやフィンランドに行きたくなってしまう。山口瞳や開高健の紀行文を読んでいても面白いんだけれど実際に行きたいとはあまり思わないものね~