「『処女同盟』第三号」-吉川トリコ-

嵐が主演している「黄色い涙」を観に行く。原作は永島慎二、監督は「メゾン・ド・ヒミコ」「ジョゼと虎と魚たち」といった作品を撮っている犬童一心で、1974年に放映されたNHK銀河テレビ小説で、この物語を初めてみて以来、いつか映画にしてみたいと思ってたということで、脚本もNHK銀河テレビ小説の担当だった市川森一が書いていたり、サケロックが音楽を担当していたり、と、個人的にはひかれる要素は割と多い。でも制作はジェイ・ストームだし、どことなく「三丁目の夕日」のヒットに乗じて2匹目のドジョウを狙ってない?という雰囲気もあって、全体的には微妙な立ち位置の映画ではある。まぁ嵐のファンの女の子たちにとっては、その辺はあまり関係ないのかも知れませんが。とはいいつつも、スタッフがきちんとそろっている分、名作とは言えないまでも、映画として観れる作品になってるように思う。ストーリー的には、一種の「トキワ荘の青春」で、割とよくある青春物語なので、特にひかれる部分はあまりないけどね。それはまた別の話なわけで‥‥。
どちらかというと、舞台となっているのが1963年の阿佐ヶ谷界隈なので、この通り(パールセンター)の向こうに阿佐ヶ谷住宅があるのだな(阿佐ヶ谷住宅が建てられたのは1958年)とか、この風景を考えると阿佐ヶ谷住宅というのは、かなりモダンな建物だったのだろうなぁ、なんてことつい思ったり、作家志望の向井が書き上げた原稿を持って井伏鱒二宅に持っていかないだろうか、なんて原作には絶対ないようなシーンを想像したりしてました。