個人的には銀座というと、映画を観に行くということが多かったので、映画を観なくなった最近は、年に数回行くか行かないかという感じになってしまってます。この秋山安三郎とか安藤鶴夫、池田弥三郎といった人たちの本を読んでいると、銀座を歩いているだけで楽しかった、といったことが書いてあって、そういう文章を読むのは好きなほうなので、ときどき、東銀座の方まで裏道を歩いてみたらそういう風景がまだ少しは残っているかもしれない、などと思ったりもするけれど、やはりそれは銀座に夜店が出ていたり、資生堂パーラーや千疋屋、風月堂といったお店がハイカラだった時代の話で、少なくとも私には、今の銀座は歩いているだけで楽しいという感じの街ではないですね。かといって、じゃ、歩いているだけで楽しい街ってどこ?と聞かれると困りますけど‥‥。
でも小林旭の「銀座旋風児」とか「銀座の次郎長」を観ていると、下町的なところもあったりして楽しそうな街だと思ってしまいます。人が住んでいる街かどうか、というのも大きいのかもしれません。
昨日の夜は、早めに会社を出て、銀座でやっていた大橋歩の展覧会「歩のあゆみ」展を見て来ました。土日、祝祭日お休みで、平日は7時半、水曜だけは8時半までという会社勤めにはやさしくない開館時間、しかも24日まで、なので、今日しかない、と。健康診断のため午後から会社に行ったのに、夕方の打ち合わせが終わるとともに7時前には会社を出るという‥‥ぜんぜん仕事してないよ、という状態だったわけですが、まぁしょうがない。そういうときもある。
展覧会は、クリエイションギャラリーG8とガーディアン・ガーデンの二会場で行われていて、学生時代の習作から初期の代表作「平凡パンチ」の表紙、1980年代の「ピンクハウス」関連のイラストレーション、村上春樹の本の挿絵、そしてすべてを自身の手で行っている季刊誌「Arne」までが展示されていて、大橋歩のデビュー当時から現在までを網羅できるようになっています。こういう風に作品を見てみると、そのときどきでの作風が変わりぶりに改めて気がつきますね。同時になんとなくデビュー当時からあまり変わっていないような気になってしまうのは、そのときどきでのスタンスやポジションにあまり変化がないせいかもしれません。あくまでも個人的な意見ですけどね。でもやっぱり1960年代後半、アイビールックの男の子たちを描いていた頃の絵が好きだなぁ。