「文学交友録」-庄野潤三-

学生の頃に授業で習ったティペラリーやラムといったイギリスの随筆家から、伊東静雄、佐藤春夫など文学における先生、島尾敏雄、林富士馬ら友人たち、安岡章太郎、井伏鱒二、小沼丹など東京に来てから知り合った作家たち、兄であり児童文学者の庄野英二‥‥と庄野潤三が出会ってきた人々との思い出がつづられている。個人的には、出てくる人の関係や住んでいるところの地理がなんとなくわかるだけに、やはり東京での話のほうがおもしろい。その辺の“わからなさ”というのは、富士正晴の本を読んでいて感じることと同じような気が。直感的に「あんな感じなんだろうなぁ」ということが分かると、もっと興味がわくんだろう。いや、関西のことは興味ない、ってわけではないし、神奈川・東京のことならなんでも分かるってわけでもないんですけどね。