対談相手は、開高健、永井龍男、丸谷才一、河盛好蔵、尾崎一雄・・・・名前を眺めるだけでこの二人がどんな話をするのだろう、わくわくしてしまう人選は偶然と言うより必然か。でも井伏鱒二が開高健と対談して、一方で木山捷平が山口瞳と対談してる、だからどうということはないけれど、私としてはそこに何かを見つけたくなってしまうわけです。
なんて、期待をふくらませて読んでみても、対談の中で誰か「オレが品川の話をしてりゃ、おまえは日本橋の話をしやがる」と言っているように(誰だか忘れた)、お互いにかみ合っているのか合っていないのかよく分からない不思議な対談になっていって、よく言えば対談する二人の素が出ていると言えるのだが、とりとめがないといえばとりとめがない。一応テーマはあるんですけどね。
でも私たちが友達と話すときだってひとつのことを系統立てて、順番に、話しているわけではなく、相手が言ったことに対してなんとなく頭の中で思いついたこと言って、それに対してまた相手が頭に浮かんだことを言っているわけで、まぁそこまではひどくないけれど、雰囲気はそんな感じ。対談だからってなにも文学などについて改まって議論することもない。昔は酒を飲みながらとかすごかったんだろうけど。