コーヒーのいれかたなんて言うとどうもものすごい器具に囲まれてしかめ面をした喫茶店のマスターやカウンターに座ってしたり顔で「コーヒーは○○○に限るね」とか「△△△と◇◇◇を●対■でブレンドしたものが一番」なんて言っている親父の顔が浮かんだり、コーヒーに限ったことでなくなにに対してもストイックに「○○道」なんてつけたがる日本人の悪い癖か?なんて思ってしまうけれど、そんなのは獅子文六が「可否道」なんて本を書いていた昔の話ですかね。
いつも飲んでる割には、私のコーヒーのいれ方はかなり適当で、毎日「昨日を味が違うなぁ」と思う。「今日はちょっとおいしいかも」なんて思うときもときどきあるけれど、同じようにいれてるつもりでも、次の日に飲むコーヒーはやっぱり違う。
何かの本に「同じ味のコーヒーを3度続けていれられたら一人前」なんて書いてあったのを読んだ気がするけれど、3日続けて同じ味なんてぜったい無理。っつかおとといのコーヒーの味なんて忘れてるって。
さて、この本のいいところはなんといっても薄いこと、最小限のことしか書いてないことで、なんかひととおり読んでると、次からはおいしいコーヒーをいれられるような錯覚に陥ってしまう。
それはきっとお気に入りのコーヒーカップを始めて使うときや、お店で一目惚れしたコーヒーポットでコーヒーをいれてみたとき、などと同じ。でもそういう気持ちを重ねていったらいつかほんとにおいしいコーヒーをいれることができるかもしれない。