■パリに留学中に執筆され、帰国後の1961年に発表されたデビュー作「城」から、この単行本が出た1978年までに書かれた短篇を制作順に編集したもの。この「I」では1967年の「洪水の終わり」までが収録されています(なので、発表順では一部入れ替わっている作品もあり)。
死や狂気、戦争などといった暗い影がべとりと貼りついた作品がほとんどなのですが、読んでてつらくなるほど重くならないのは、舞台となっているのがおもに外国だったり、主人公が留学中の大学教授や記者といったちょっと現実から離れた設定で、かつ物語の中で狂気に陥るのが主人公ではなく、主人公はその様子を語る人物として登場することが多いせいなのかもしれません。
■あっという間にゴールデンウィークもおしまい。
前半は長野の小諸にある茶房 読書の森というところに行ってきました。茶房 読書の森は、オーナーが建てた小屋やゲルがいくつかありそこに泊まる形のゲストハウスで(というのかよくわかりませんが)、うちは、絵本作家の田島征三が壁の絵を描いた征三ハウスに宿泊しました。キャンプ場ではないけれどバンガローに泊まるイメージですかね。
周りには、下から空気が出ていて上に竹でできた上がついており、そのあいだにある穴を抑えると音が出るどうらくオルガンやピンホールカメラの原理を利用して、真っ暗な中にスクリーンが設置されていて壁の穴を通して外の風景が上下さかさまに投影される小屋などがあり、茶房のほうにも絵本の部屋があったりします。でも基本的には、池があって、その周りを林や田んぼ、畑が広がっているという風景が広がっていて、子どもたちもそちらのほうで遊びまわっていました。子どもたちの後ろから道を作りながら林の奥へと進んでいくと自分が子どもの頃を思い出したりします。
夜には、山菜を中心にした食事が出て、お酒を飲みながらオーナーやほかの宿泊者たちと遅くまで話したりして大人だけで泊まるのも楽しいと思いますよ。
ついでに店内の洋服をちらりと見たら欲しい服もあったけど、入り口で水木しげるの妖怪図鑑を見ている子どもたちをそのままにして試着するわけに行かず、断念。ほんとはカフェスペースでコーヒーとか飲みたかったんですけどねぇ。