「今日の雪」-大佛次郎-

7月くらいに買ったものの、さすがに真夏に「今日の雪」を読むのもなぁと思って、冬が来るまで寝かせておいた本。内容のほうは「飛騨の朝市」「散歩について」「物を書く話」など身近な出来事やどこかに旅行に出た時の話、ビートルズ来日公演の見物記である「ビートルズを見た」など、特に“冬”とは関係はない随筆集。ちなみにタイトルは、“フォランソア・ヴィヨン以後用いられているという「昨日の雪」の反語”とのことです。“フォランソア・ヴィヨン以後用いられている”という意味がわたしにはわかりませんが。

私が持っているジャクソンファイブのベスト盤が、クリスマスソングから始まるせいか、12月に入ってからは何年かぶりにモータウン→ノーザンソウルばかり聴いてます。といっても7インチを集めるようなマニアではなし、そもそも個々のアルバムさえ買わずにベスト盤とコンピですましているだけですけど‥‥。でも、例えばコンピ10枚分、約250曲のノーザンソウルのシングルを手に入れるために、どれだけ手間とお金がかかるかと思うと、私のような自分内ブームを追いかけているような人間には手が出ません。基本的にはKENTとかGoldmineから出ているコンピを買っているだけなのですが、思ったよりも簡単に手に入らないです。イギリス盤だから新品は割と高かったりするし‥‥。新宿ユニオンのソウル館とか行くとぜんぜん違うんでしょうけどね。パレードが終わって一年以上経つけれど、久しぶりにノーザンがかかるようなイベントに行きたくなります。
今年もそんな風に無節操にCDを買ってました。だいたい月に10枚~12枚くらいCDを買っている感じなので、年に100枚くらいですかね。その中から特によく聴いたものと言えば、まずは、去年の終わりに出たスペシャル・アザーズの「Good Morning」。これはコーネリアスやToeのアルバムと合わせて聴いてましたね。珍しく過去のミニアルバムもほぼ一気にほぼそろえてしまったし、ライブにも行ったし、かなり聴き込んだグループかもしれません。でもポストロック系、ジャムバンド系のインストは、定期的に聴きたくなるけれど、結局、何を聴いたらいいのか分からなくて意外ときちんと聴き進めていくことがないですね。
それからThe Viewの「Hats Off to the Buskers」。これがきっかけになって、今年は10年ぶりくらいにUKロックに夢中になりました。ある意味、十代のくせにまとまっているなーとも思えるけれど、メロディもサウンドもストレートで、変にマニアックな感じがしないのがいい。あ~ライブにも行きたかった~。
あまり期待していなかったハーフビーの「SIDE FARMERS」もよく聴いた一枚。この手の人はアルバムを重ねると、結局、4つ打ち、女性ヴォーカルみたいな形式に固まってきたりしてつまらなくなるものだけれど、サンプリングの仕方や曲の作り方がいい意味でこなれてきて、聴きやすくて完成度の高いポップスのアルバムになったと思う。
夏の終わりに聴いていたEpstein & El Conjuntoの「Canto de Hermanos」は、前にも書いたようにタワーレコードで偶然試聴して気に入ったCD。この辺のラテン系移民によるブレイクビーツももっと聴きたかったけれど、これ1枚で終わってしまいましたね。
10月、11月は生まれて初めてピアノトリオ(ヨーロッパジャズ限定)にはまったりしていたのですが、そのきっかけとなったのがウォルフガング・ダウナーの「Music Zounds」。ウォルフガング・ダウナーといえばシタールが入った「The Oimels」が有名ですが、こちらはすべてトリオの演奏。ちょっと軽るめのピアノの音と、グルーヴィーとかブルージーな要素がほとんどないライトタッチのノリのよさがなんとなく新鮮でした。ピアノトリオではスティーヴ・キューンの「Watch What Happens」もよく聴きました。で、ついECMまで手を伸ばしたくなってみたりして‥‥

「蜜蜂が降る」-尾崎一雄-

20%OFFセールも終わってなんとなく今年も終わりという雰囲気ですね。あとは、いつもどおりマイペースに本を更新していくだけか。雑記も久しぶり。20%OFFセールでいつもより少しだけ忙しかったということもあるけれど、単に忘年会やらなんやらで飲んで帰ることが多かったことが大きい。前に飲んで帰ってきて発送作業をしたら、間違えて違う本を送ってしまったことがあって、それ以来、飲んで帰った日は基本的に発送作業などはしないようにしているので、飲まない日に発送作業がたまってしまい、雑記どころではなかったのです。とはいうものの私は営業職ではないので、取引先やクライアントなどの飲みはあまりないし、言うほど飲んでもいないんですけどね‥‥。
そんな毎日を送っているせいで、あまり本も読んでませんが、これから31日にかけていろいろ今年を振り返ってみたいと思います。年々一年が短くなっていく中で、振り返るものがなくなっているような気もしないでもないし、やり残したこともあるような、ないような‥‥。いや、「今年はこれをやりたいなぁ」なんてこともここ数年は考えたこともないので、そもそも“やり残し”なんてものは存在しないわけで‥‥。なんてことをぐだぐだと書きつつ今回は予告だけ。

‥‥というのもなんなので、備忘録として。
デビュー40周年を記念して八王子夢美術館で行われている「林静一展」とそれに合わせて行われた「林静一展 トークショー」に、週末、行ってきました。林静一と言えば、有名なのはやはり小梅ちゃんか「赤色エレジー」。そんなわけで、展覧会の方も、女性の絵を中心にイラストレーションや漫画、日本画などが展示されており、ちらしに書かれていた「現代の竹久夢二」という内容。わたしは「ガロ」とか読んでいないので、「赤色エレジー」よりも、「僕は天使ぢゃないよ」やはっぴいえんどのファーストアルバムの印象が強いですね。あのゆでめんのジャケットの絵が「赤色エレジー」一場面ということも初めて知ったくらいです(オリジナルだと思ってました)。
トークショーは、最近出版された作品「夢枕」が、夏目漱石の「草枕」を下敷きにしたものだったり、美術史を語った部分が大きいことから、林静一、夏目房之介、山下裕二、湯浅学というメンバーで、どの出演者も「俺は、俺は」といった、どちらかというと押しが強い雰囲気もありましたが、話の内容としてはおもしろかったです。話しすぎて時間が過ぎてしまい、質問コーナーとかなかったし‥‥。あの質問コーナーって自分が何か質問するわけではないけれど、「えーそんな質問しちゃうの~」とか「そもそも質問の意味がわかんないよ~」みたいな質問があったりして、なんとなくドキドキしちゃうんですよね~。
「林静一展1967~2007」は、2008年2月3日(日)まで。「林静一・浜田真理子 上映会&ライブ」「原マスミ ライブ」などのイベントもあります。八王子夢美術館は、八王子駅からけっこう歩くけどあるので、冬はつらい。

「蜻蛉玉」-内田百けん-

さて、内田百けん集成も後半に突入。

1日は映画の日、しかも土曜日。ということで、ウディ・アレンの新作「タロットカード殺人事件」を観ました。個人的にはウディ・アレン作品としてはいまいちだった前作の「マッチポイント」同様、スカーレット・ヨハンソン主演でイギリス撮影なので、ちょっと心配していたのだけれど、ウディ・アレンが出ているだけあって、いつもの軽快なコメディタッチのミステリーになっていてほっとしました。もうウディ・アレンが画面に出てきてちょこまかと動き回って、おもしろいんだかおもしろくないんだかわからないユダヤをネタにしたギャグを連発して、周りの人を困惑させている様子が出てくるだけでOKです。欲を言えば、「カイロと紫のバラ」みたいな作品を最後に撮ってほしい。

映画の日なので、たまには2本くらい映画を観たいと思いつつも、特に観たいものもなく、家に帰って「アタゴオルは猫の森」をテレビで見る。去年、ガーデンシネマで予告を見たときは、「アタゴオル」なのにCGっぽいアニメはないよなとか、音楽、石井竜也かよとか、不安要素がありすぎて見に行く気になれなかったのだけど、結果としては見に行かなくてよかったです。もうね、最初の石井竜也をモデルにした人がお祭りで歌っているところからダメ。ストーリーもなんだかな~という感じだしね。先日、「ますむらひろしの世界展」に行ったときに、会場で流れていたビデオが「銀河鉄道の夜」だったのがうなずけました。

続いて「進め!ジャガーズ 敵前上陸」「ザ・タイガース 華やかなる招待」「ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを」と、GS映画を3連チャンで、いろいろやりながら横目で見る。ジャガーズの映画は、中原弓彦が脚本を書いているだけあって、なんとなくモンキーズのテレビシリーズを思い浮かべてしまいそうなめちゃくちゃなコメディ。今度放送されたらちゃんと見直したい。そのあとは、タイガース→テンプターズと進むに従って、だんだん話が湿っぽくなっていくのがどうもね‥‥。タイガースは「世界はボクらを待っている」の方を見てみたいかな。