「新東京百景」-山口瞳-

今、山口瞳が流行っているらしい。本屋にも山口瞳特集のムック本が平積みにされていたし、そういえば6月に北尾堂ブックカフェに行った時も北尾さんがそんな話をしていたような気がする。まぁアンクルトリス→柳原良平ときて次に山口瞳がくるのはわかります。私がそうなので‥‥。そういう意味で私は流行りに左右されやすいのだ。

でも実は新潮社からかなり出ている彼の著作のほとんどが絶版になっていて手に入れようとするとなかなか手に入らない。別に「礼儀作法入門」だとか「 温泉へ行こう」とか初めに読みたくないしね。そんなわけで最近古本屋で山口瞳の文庫本を見つけては買っている。どれも100円とか200円といったところなのでいつのまにか読んでいない本が5、6册くらいたまっているという状態。

さて今日も夕方から外出。阿佐ヶ谷へ。JRを降りると何故か人だかりで不思議に思っているとどうやら今日から七夕祭りということがわかる。とりあえずちょっと時間もあるので喫茶店でコーヒーを飲みながら本を読むことにする。2日外出が続いたせいで一気にこの本も読み終わってしまった。

1980年代中ごろの東京を19景。その頃は土地もどんどん値が上がり、そこいらじゅうにビルを建てて都市整備なんて言ってたりしていた真っ盛りだったと思うが、今でも同じ感覚なのが恐ろしい。「汚い路地を整理して、新しい快適な街を作る」と当時再開発を行っていた人の言葉が出てくるのだけれど、森ビルの社長が同じ言葉を六本木ヒルズができた時に言っているのを聞いた。

「フレデリック ちょっと かわった ねずみの はなし」-レオ・レオニ-

仕事で荻窪に行ったついでに立ち寄ったブックオフで250円で購入。レオ・レオニの本は「あおくん と きいろちゃん」をはじめ前から欲しかったのでちょっとよれてるけどまぁしょうがない、と。

最近のブックオフは以前に比べて「いらっしゃいませ!」の声が目立たなくなったような気がするのだけれど、単なる気のせいかな。でも人が見ようとしてるのに、目の前で本を棚に入れながら10秒おきに声をあげている店員はあいかわらず。「ハッキリ言ってじゃまなんですけど」と言いたい。

昼時だったのでそのまま荻窪に住んでる友達と合流して中華屋でマーボー豆腐定食を食べる。私は胃が弱いので辛いものは苦手なのだが、それほど辛くはなくおいしかった。
今日は寄れなかったけど、古本屋をいくつか見かけたので夏休みに行ってみようと思う。夏休みは一日のんびりと中央線の古本や巡りをしようと思っているのです。今まで読んだこともないけど「散歩の達人」の中央線特集でも立ち読みしてチェックしてみようかな。

「荻窪風土記」-井伏鱒二-

井伏鱒二といえば「黒い雨」か「山椒魚」くらいしか知識がなくて、おまけに前者は読んだこともないし後者を読んだのは中学生の頃であんまり記憶がなかったりする。そんな作家の本をいまさら読んでみようと思ったのは、大好きな小沼丹の師匠ということと荻窪に住んでいたということを知ったから。ほんとは初めに「珍品堂主人」を読みたいと思っていたのだけれど、先週の土曜日に古本屋周りをしたときにたまたまこの本を見つけてしまったのです。

しかし今杉並に住んでいるもののそれほど地理に詳しいわけではないので、通りの名前とかお店の名前などが出てきても分からないものがばかり。生まれも育ちも、そして現在も荻窪に住んでいる友達を思い出しては「○○だったらわかるんだろうなぁ」と思いながら読んでます。
まぁそれよりも昭和初期から太平洋戦争ぐらいまでの杉並の様子や作家を目指す人たちの交流がおもしろいです。太宰治や木山捷平、外村繁、作家じゃないけど徳川夢声など阿佐ヶ谷、高円寺、荻窪には多くの作家、作家希望者が住んでいて、ミュージシャン希望が集まる今の様子とあまり変わらないかもしれません。

「旅の時間」-吉田健一-

旅行に行って帰ってきてすぐの頃は、旅の疲れがたまってしまったり、急に日常に戻ったせいで慌ただしかったりして「当分、旅行なんて行かないだろうな」と思ってしまいますが、1カ月くらい経って次第に落ち着いてくると急に旅行先のことを思い出しだしてなんだかそわそわしてしまったりして、そんなときに山口瞳の「酔いどれ紀行」やこんな本を読んだりするともう夏休みも近いし国内でもいいからどこかに行きたい、なんて気分になってしまいます。

さてこの本は旅をテーマにした小説集。飛行機の中の出来事からフランスやイギリスを行った国々、そして大阪や京都をいった土地を舞台に話が展開し、それぞれの作品の中でその土地の評論が繰り広げられるという形になっています。でも大抵登場人物はそこで飲んでいるだけですが・・・・。

ただ吉田健一の小説のおもしろいところは、登場人物飲んでさまざまなことを語り合っているだけだけれど、ストーリーとしては実は現実離れしていて、現実とも非現実ともつかないような世界が広がっているというところで、ここが彼の随筆や評論との一番大きな違いかもしれません。

「酔いどれ紀行」-山口瞳-

続いて山口瞳の紀行もの。新潮社なのに表紙が柳原良平じゃない、しかも変な絵は誰?、なんて思っていたら山口瞳本人の絵でした。すっすみません。

長崎から始り浦安、タヒチ‥‥そして最後に横浜で終わるこれらの旅行は、基本的には紀行文を書くためと絵を書くためという目的があるのだが、ほんとに絵を書いてるの?と思うくらい贅沢な旅で、日程もめちゃくちゃ余裕があります。でもなんだかいつも体調が悪かったり、機嫌が悪かったりして文句ばかり言っているような気もします。
そして現地のいろいろなところで美味しいものを食べて酒ばかり飲んでいる様子は、どことなく田中小実昌の旅の文を思い出したりします。いや結構、似てるような気がするのは私だけでしょうか。読んでいる途中で何度も「なんかどこかで読んだことのあるようなエピソードだけれど、ちょっとちがうか」という感じを受けました。ただしこちらの旅は田中小実昌と違って男ばかりの団体旅行ですが‥

「梔子の花」-山口瞳-

山口瞳の本は柳原良平が表紙を書いていることが多くて、それにひかれて前々から一冊は読んでみようと思っていました。でもこの本を含めて「酔いどれ紀行」や「新東京百景」「私本歳時記」など読んでみたいなぁと思うものが軒並み絶版になってしまって本屋に置いてないし、意外と古本屋さんにもない気が‥‥。

この本は、多分何かの週刊誌とかに一年間連載されたものがそのまま収録されているのだろうけれど、「空っ風」から「土筆」「夏帽子」ときて「秋時雨」と一年間をテーマとした短編が40数編収録されています。短編といっても原稿用紙10枚くらいの小話と行った感じのもので、さらにいうなら50代から60代のサラリーマンの思い出話しや飲んだ席での愚痴みたいなものがほとんど。多分数年前の私だったら「くだらない」と一蹴したかもしれないけれど、最近はこんな話を電車の中でちょこっとずつ読んでいくのも結構楽しいと思う。言い換えると楽。

希望としては、何かの用事があって会社を出たときに、予定よりも早く用事が終わってしまったのでちょっと喫茶店でコーヒーでも飲んで帰ろう、なんて時に3、4編読んでみたい。まぁ私は仕事中ほとんど外出することなんてないんですけどね。

「The Color Kittens」-M.W.Brown、A.Provensen、M.Provensen-/「A Child’s Garden of Verses」-R.L.Stevenson、A.Provensen、M.Provensen-

絵がかわいかったのと比較的値段が安かったので、下のサセックの本と一緒に注文してみた。実際に届いてみると思っていたよりも大きなしっかりとしたハードカバーの本だったのでうれしい。(写真では同じにしてしまっているけれど「A Child’s Garden of Verses」の大きいです。)

それぞれGolden Books Family Storytime、Golden Books Classicsというシリーズの一冊らしいのだけれど、これはLittle Golden Booksの復刻版なのかな。ちょっと分かりません。
作者のプロヴェンセン夫妻は、夫のマーチンがディズニーの「ファンタジア」「ダンボ」などの制作にかかわっているときに知り合い、1947年に、「The Fine Side of Folk Songs」というフォークソング集の挿絵を初めて二人で手がけたのをきっかけに、以後50冊以上の本を刊行しているアメリカを代表する絵本作家。日本では、「スティーヴンソンのおかしなふねのたび」(翻訳:平野敬一)「シェイカー通りの人びと」(翻訳:江國香織)「パパの大飛行」(翻訳:脇 明子)といった本が翻訳されているようです。「A Child’s Garden of Verses」は「いろいろこねこ」という題名みたいです。

なんてことを書いていますが、実は何にも知らずに表紙だけ見ていいなと思うものを適当に買ったら同じ作者だったのでちょっとびっくりしました。絵の感じも同じというわけでもないし・・・・。

「This Is New York」「This Is San Francisco」-Miroslav Sasek-

ミロスラフ・サセックの子どものための旅行絵本シリーズより、最近復刊されたニューヨークとサン・フランシスコの本。

前から古本屋やカフェで飾られているのを見ていいなとは思っていたのですが、値段が高すぎてちょっとという感じでした。と言いつつ再発されたこれらの本も洋書屋で見ると3000円位したりして結局アマゾンで注文。なんと1冊1600円!思わず2冊買ってしまいました。一年前に初めてアマゾンで本を買ったときは届くまで半年かかったけれど、今回はなんと5日!やっぱり人気のある本は早いなぁ、とちょっとびっくりです。

サセックの絵は、一見すると素朴な感じの人物の描写や平面的でかつ鮮やかな色使いに目がひかれるのですが、よく見るとかなり緻密に描かれていて、どこか柳原良平と共通点があるような気がします。構図もかなり凝っているので見ていて飽きません。
このシリーズはこのほかにもロンドン、ローマ、香港、ヴェニスなどがあり、全部で18冊になるそうです。今まで特に集めようなんて思ったことなかったけれど、2冊買ってしまうとほかのも欲しくなるなぁ。

「太陽 特集:鎌倉」(1998年1月号)

新宿の南口にあるスタンダードカフェでお茶して東口のほうに歩いていたら、ヴィクトリアの裏側に古本屋を発見。「畸人堂 趣味の古本屋(だったかな)」と書かれた看板に不安を覚えつつも行ってみると、かなり普通の古本屋。映画や音楽、アート関係の本もなにげにたくさんあって得した気分でとりあえず鎌倉特集の「太陽」を買う。

この間、鎌倉文学館にいったせいというわけではないが、もともと里見惇が好きだったということもあって、最近鎌倉文士といわれる人たちが気になっていたのでちょうどいい。久しぶりに作品リストとか作って本を探してみよう。もっともこのほかにここで紹介されているお寺や巡礼コース、お寿司や精進料理などのお店には行くことはないだろうな。今のところは写真を見ているだけで満足。行かないわりにはお寺やその庭、道などの写真を見るのは好きなのですよ。

「17 9 ’97」-蜷川実花-

訳あって最近送別会多し。昨日も会社の人の送別会で、解散後もちょっと飲んで帰ろうと思ったら電車の乗りつぎを考えると井の頭線の最終に間に合いそうもない。しょうがないので荻窪に住む同僚と中央線で西荻まで出て歩いて帰ることにする。しかも西荻の駅で降りるとパラパラと雨が、時間はすでに1時過ぎ。
そんな状況なのに「明日休みだし」なんて思いつつスコブル社へ。

夜も遅いので店内のさらりと見てレジ前にあった蜷川実花の写真集を買う。この写真集は出版された時に見てずっと買おうと思っていたのだ。写真集をすべて買ったり展覧会に欠かさず行ったりと言うことはないけれど、蜷川実花の写真は結構好き。誰もが言うことなのでなんだけれど、ほんとどうやってあんな色出してるんだろうと思う。

ちなみにほかに好きな写真家は川内倫子だったりする。ただのミーハーですかね。